バドミントンダブルス理論

2.ローテーションへ進む前に

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2-1 ローテーションって何?

 ダブルスで大事なことは「ローテーション」と答える方は大変多いと思います。実際、「ダブルスのローテーションを見てください」と聞かれる事も多く、とても重要なのは事実です。しかし、このいわゆる「ローテーション」を勘違いしてしまっている方が大変多いのです。

 「rotation」・・・回転

 と名前が付いてしまっているからかも知れませんが、もしローテーションしないで勝つことができたらどうでしょうか。「たまたまだ」「決して強くは無いペアだ」と思われる方もいるかもしれません。が、もしこれを意識的にできたとしたらどうでしょうか。
  将棋の格言で「負けて当然、勝って偶然」(.*1)という言葉が将棋ではあるようですが、最初の形がベストの状態であり、そこから進むにつれて隙ができるというものです。動けば動くほど隙ができるのはバドミントンはおろか、どのスポーツにも共通するものでしょう。

  だからといって、ローテーション無しでは現実的には勝てません。けれど、ローテーションしないで勝てるのならそれがベストなのです。ここにローテーションの意味が隠されています。

2-2 ローテーションをしないで勝つ方法

 ローテーションをしない方がベスト、これの意味は、実は単純にそれではありません。かっこよく言えばゲームコントロールとなるのでしょうが、はっきり言うと、シャトルのコースを限定してしまう、ということになります。

 例(図-1参照)をあげます。

1.相手のサービスでラリースタート
2.そのままストレートにプッシュ。
3.プッシュ後相手のストレートに移動し、相手のリターンを待ちます。
4 .相手後衛はストレートに返球。
5.プッシュしてラリーend。

 こんなプレーありえない、相手がクロスに返してきたら?奥に返してきたら?前衛に取られたら?いろんな疑問があると思います。ですが、その疑問の裏返しがとても重要なポイントになるのです。
  上記のような様々な疑問点が浮かんだ方は間違いではありません。この例では情報が少なすぎます。ですが、このラリーは不可能ではないのです。一番引っかかってくるのは「4」だと思います。相手の返球はストレートだと言い切っています。これを可能にする為には、ここにしか返ってこないように「2」のプッシュを打っているのです。つまり、

「2」でストレートにしか返せないようなプッシュを打ったから、「3」で移動し、「5」で決めることができる

 のです。このように考えていければ、無駄なローテーションはまったく無くゲームを征する事ができるでしょう。このストレートにしか返せない返球方法は、後程説明致します。
  あえていえば、「3」こそがいわゆるローテーションと考えます。そして、「3」がローテーションであれば、移動する「3」よりも「2」が一番重要になるということがわかっていただけるでしょう。そして「3」をラリー中に繰り返すことが、「回転」と例えられたバドミントンのダブルスになります。回ることが重要ではなく、ポジションチェンジの素早い繰り返しが、結果的に「回ってしまっている」だけなのです。

2-3 ローテーションをする為に必要な技術

 つまりローテーションとは決して回ることではなく、「シャトルが来る所へ少しでも早くポジションを変える事」になります。速く、ではなく早くなのは、スピードではなく、相手が羽根を打つ前にその場所に移動しなければならないことによります。そしてそれを実行する為に必要な技術は、「相手のシャトルのコースを制限させるショットを打つことができる事」です。そこまで上級的な事にはならなくても、最低限必要なのは攻めているのか守っているのかはっきりするショットが打てる事です。スマッシュなのかクリアなのかわからないショットしか打てない選手にローテーションを教えようとしても、それは順序を追っていない為大変習得は難しくなるでしょう。そして、それが意味をなすのは、結局安定したショットが打てるようになってからになります。

 ローテーションの意味をしっかりと把握し、必要な技術を身に付けていきましょう。

*1 
「負けて当然勝って偶然」はは、ドラマ「古畑任三郎」での1コマ。実際にそういう言葉があるか、確認できてません。情報お待ちしております。

 

図-1 コース限定ローテーション