バドミントンダブルス理論

7.ポジションチェンジでの注意点

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ここでは、初心者から中級者が陥りやすいポジションチェンジのミスについて説明します。

7-1 コート角のポジションは存在しない

 図-1 参照

1.相手クリア
2.落下点へ移動
3.サイドへ移動・・・NG!
4.クリア
5.後衛サイドバイサイドの位置まで前へ移動
6.前衛サイドバイサイドの位置まで後ろへ移動

 この例の場合、3の動きはまったく意味を持ちません。ですが、実際は本当によく見かけるプレーの一つです。 パートナーが同じコート内でラケットを振るのに邪魔をしてはいけないと思ってしまったり、もしくは前衛にいていいのか下がらなければいけないのかわからずに中途半端に移動してしまう方が多いようです。よくパートナーを見ながら3で移動していく方もいらっしゃるようです。ですが、本当に危なければパートナーはラケットを振りませんし、もしパートナーの打ったシャトルがスマッシュだった場合には右前方のネット前ががら空きになってしまいます。だいたい、3で移動する事に、デメリットはあるにしてもメリットはまったく無いといっても良いでしょう。この行動によってコートが相手からスカスカな状態になってしまいます。

 図‐2にいい例と悪い例を載せました。基本のポジションはの4点です。シャトルを角に打ちに行ったとしても、すぐにこの基本ポジションに戻らなければいけません。そしてパートナーはそのときに対角に移動します。相手にとっては隙が少なく、狙いどころが少なくなります。
  ところが下のの8点ポジションでは、角の4点にプレイヤーが立っている時間が長ければ長いほど、相手に対してスペースが空きます。例えば、後衛センターと前衛左にいた場合は右前が空き、後衛左と前衛センターの場合は右後ろが空きます。つまり、角にシャトルを打ちに行った場合には、できるだけ早く4点に戻る事でスペースを少なくする事ができるのです。

 但し、これは基本中の基本であり、レベルが上がるに連れてここから幅をもたせてあげなければいけません。いわゆる「二等辺三角形を」という話がでてくるのはこれが理解できた後の話です。応用編で細かく説明いたします。

6-2 左回りローテーションへの固執

 左回りのローテーションは、今も強く根付いています。それは「右利き同士のペアではフォア側に回りこめる」というメリットがあるからです。時計回りに回った場合、右後方から左後方に移動しながら打つ場面ではバック側になってしまうので体制が厳しくなることがあります。なので、左回りでローテーションしましょう、という話が昔からあります。

 ですが、これには大きな間違いが含まれています。バックで打てないから左回りをするのであれば、バックをしっかり使えるようになればいいですし、苦手なら早く移動してフォアで打てるようにすればいいのです。前述したように左回りのメリットは多少なりともありますが、その分のデメリットが大きすぎて、尚且つ技術向上のチャンスを減らしてしまってもいます。
  図−2で示したように、そして【準備編】で記したように、ローテーションで回る必要はありません。細かいポジションチェンジから成り立っているのです。

 そして左回りに固執するあまり、図-3のような事が起こります。この配球は「6-2 相手のクリアによるポジションチェンジ」とまったく同じです。が、左回りしかしないので、パートナーが後衛に、スマッシュを打った本人が前に詰めています。これでは右前が、後衛が前に詰めるまでの時間がら空きになってしまいます。

デメリットとしては
・4で後ろから前に長い距離を走る。
・3のリターンがネット前なら、時間的に間に合わない可能性がある。
・ネット前で決めるチャンスを逃している。
・スマッシュを打つ意味が無くなって来る。

  特にジュニア、レディースに非常に多く見られます。決める為には何が得策なのか、何を練習しなければいけないのか、メリットとデメリットをよく考えてローテーションを考え直してください。

 

6-3 前衛、後衛の位置

 トップアンドバックでは、選手は前後にポジションを取りますが、ではどこにいるのがいいのでしょうか。細かい話は応用編でやるとして、前衛は前過ぎ、後衛は後ろ過ぎる事がよくあります。

 
 図-4を見てください。四角い部分が簡単な守る範囲として、を基準に同じ大きさでにもコピーしました。を見てもらえばわかるように、もし同じ範囲をカバーするとしたらこのポジションでは後ろにも動かなければいけません。もしそれをしないとすれば、青後衛のカバー範囲は相当大きなものになります。
  ですが、人間は基本的に前に進む生き物です。後ろへのフットワークはもちろん練習しなければいけませんが、ダブルスであればその苦手な行動を減らす事ができます。のポジションを前衛が取れば自分の前だけに専念することができます。
  ではなんで後衛がよりもが前なのかと言えば、それは時間の問題です。シャトルが後衛まで飛んでくるという事は、それだけ時間がかかっているということです。時間がかかるなら、後ろへのフットワークも可能。であれば、時間の少ないハーフのドライブに対応する為に少し前に構えます。
  前衛は、後衛よりも前にいるというだけで、決してネットに張り付きっぱなしのポジションではないのです。ですが、それが100%間違っているというわけではないというのもバドミントンの、ダブルスの難しいところです。これを踏まえて応用編を読んでください。

 

図-1 相手クリア時の無駄なポジションチェンジ

図-2 ポジションチェンジのいい例と悪い例

図-3 左回りの弊害

図-4 トップアンドバックのポジション